ペルシア語の世界・中級編

講座概要

 ペルシア語文法の基礎を身につけた人が、さまざまなペルシア語のテキストをじっくり読んでみる講座です。千夜一夜物語の中のイラン文化、シーア派イスラームの歴史と思想、マスナヴィー詩の物語世界…イランの歴史と文化に深く根ざした古今の散文・韻文を通し、ペルシア語の味わい深さを楽しみつつ、その背景にあるイランの豊かな文化世界を探っていきましょう。

講座詳細

【講師】
渡部 良子(東京大学非常勤講師)
【期間】
5月15日〜7月24日 隔週金曜日 18:00〜20:00
【回数】
全6回
【受講料】
計12,000円(税込)
【対象】
ペルシア語文法を学び、さまざまなテキストを読んでみたいと思っている人、以前ペルシア語を勉強したことがあり、学び直したい人、ペルシア語文化に興味がある人など、ペルシア語初級程度の文法知識がある方なら、どなたでも参加できます
【教材】
講座初回に配布します
【講座コード】
50505
【内容】

第1〜2回 千夜一夜物語とイランの神話世界
10世紀頃にアラビア語で成立し、世界中の言語に翻訳されてきた『千夜一夜物語』。そのペルシア語訳は、19世紀ガージャール朝期に王子バフマン・ミールザーの命令で誕生しました。しかしイスラーム文化の発展と世界への広がりの中で各地の伝承・逸話を取り込み成立した物語群には、多くのイラン的要素も含まれています。ペルシア語版千夜一夜の一節を読みながら、アラビアン・ナイトの世界とイラン文化のつながりを探求してみます(講読する物語は、受講者と相談して選びます)。
参考文献:前嶋信次・池田修訳『アラビアン・ナイト』全18巻、平凡社(平凡社東洋文庫)、1966−1992

第3〜4回 シーア派イスラームの世界
イランの人びとの大多数は、イスラームの少数派、シーア派に属しています。預言者ムハンマドの従弟アリーとその子孫のイマーム(指導者)たちに対する深い崇敬をもとに発展した信仰世界は、イランとペルシア語の文化を理解するうえで欠かせません。
法学書、歴史書、詩・・・シーア派イスラームについての文献は多岐に亘りますが、ここでは学校教科書のシーア派の歴史・教義に関する章を講読し、教育を通して伝えられる思想と文化を垣間みてみます(講読する物語は、受講者と相談して選びます)。
参考文献:富田健次『イランのシーア派イスラーム学教科書』全2巻、明石書店(世界の教科書シリーズ)、2008−2012

第5〜6回 詩でつづる物語〜マスナヴィー詩の世界
ペルシア語の世界を豊かに発展させたペルシア語詩。カスィーダ(頌詩)、ガザル(叙情詩)、ルバーイー(四行詩)、古典詩のさまざまな詩形の中で、特に重要なのがマスナヴィー詩でしょう。ペルシア語独自の詩形であるマスナヴィーは、その比較的自由な規則のために、何万対句という長大な物語詩を発展させました。叙事詩(『王書』)、ロマンス詩(『ライラとマジュヌーン』『ホスローとシーリーン』)、神秘主義詩(『精神的マスナヴィー』)、ペルシア語古典文学の珠玉の作品に挑戦し、古典文学の精華を味わってみましょう(講読する物語は、受講者と相談して選びます)。
参考文献:黒柳恒男『ペルシアの詩人たち』東京新聞出版局(オリエント選書)、1980

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