お気に入りの表紙

お仕事帰り、ついつい本屋さんに立ち寄ってしまいます。
沢山の本が並んでいるのを眺めるのが大好きなのです!

そんな私は、よく「表紙買い」をしてしまいます。
素敵だなぁ、と思う表紙の小説なんかがあると、特に買う予定がなかった本でも買ってしまうのです。
表紙買いが大成功して、生涯の心の友になるような本に出会えることもあります。

逆に、欲しい!と思っていた本でも、表紙が好きになれないと、買うのを躊躇ってしまうことも…。
どうしても欲しい場合は、購入してから家で表紙(カバー)を取ってしまったり、
もしくは包装紙などでカバーを自作したりします。
手元に置くなら、素敵な表紙の本が良い。

勿論、本の内容が一番ですが、私にとって「表紙」の重要度は高めです。


さて、現在、東洋文庫ミュージアム・オリエントホールの展示ケースでは、
開催中の企画展『ロマノフ王朝展』に合わせて
1)旅行・探検・漂流の記録
2)生活
3)言語・文学・宗教
という3つの視点からロシア、中でもアジア側のロシアとその周辺に関する資料を展示しています。

その中に、とーっても好みの表紙の本を2冊見つけましたので、ご紹介致します!

その1:『ミハイル・ストロゴフ』ジュール・ヴェルヌ、1876年、パリ刊



フランスの小説家ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)は『八十日間世界一周』や『海底二万里』などのSF作品を手掛けたことで有名です。
これは彼が手掛けた歴史小説で、ロシア皇帝アレクサンドル2世(1818-1881)の治世が舞台となっています。
敵軍襲来の危機を知らせる新書を届けるため、若き密使ミハイル・ストロゴフが
数々の危機や裏切りなどに直面しながらモスクワから5,000km以上離れたシベリアのイルクーツクへ向かう、
というストーリーです。

地球儀や、その周りに浮き輪、オール、銛、望遠鏡など大冒険を彷彿とさせるアイテムが散りばめられていて、
ワクワクする表紙になっています!
カラーリングもカッコイイ!


その2:『サハリン島』チェーホフ、1905年、サンクトペテルブルク刊



チェーホフはロシアを代表する劇作家です。
彼は流刑囚の実態を調査するため、1890年にサハリンへと旅立ちました。
この本は3か月に及ぶ調査の記録で、貧困、病気、退廃が蔓延する流刑地のすさまじい現実が記されています。
この旅は、チェーホフにとって「生きること」の意義を問い直すきっかけとなったと言われています。
帰国後に『桜の園』などの名作を数多く執筆しています。

ヘビーな内容となっていますが、表紙のインク壺からは、
陰鬱な表情の人々を包み込むように流麗な線で描かれた美しい植物が芽吹いています。
何かチェーホフの隠れた思いが表現されているのでしょうか。


「この表紙好き!」という観点からも、是非『ロマノフ王朝展』をお楽しみ下さいね!




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