色鮮やかな漂流記『環海異聞』


今回は『魯西亜国漂舶聞書』と並び注目を浴びている、
見聞記録書『環海異聞』についてご紹介したいと思います。


本作は、帰国した漂流民たちの情報をもとに、1807年頃大槻玄沢によってまとめられました。
全16冊から成り、『環海異聞』は幕府で保管されていた1点をもとに何度も書き写されたため、
コピー本が多く存在します。
その中でも当館で展示されている作品は、挿絵や文章が丁寧に書かれたオリジナルに近いものとなっています。


本作完成への記録を残した漂流民たちは、宮崎県石巻から出航した乗組員たちで、
約10年ほどの漂流の間に、2年ほどロシアの調査船に同乗して世界周遊を行っています。
この周遊は、日本人にとって初めての世界旅行であったため、
彼らが残した記録は当時の日本にとってとても珍しく感慨を与えました。


本作には、漂流民たちが出会ったロシア皇帝アレクサンドルI世夫妻の肖像画や、
使節レザノフの姿、そして彼らが旅の間に眺めた景色などが色鮮やかに描かれており、
見る人の目を楽しませてくれます。



彼らが私たちに何を伝え、当時の日本にどう影響を与えたのかを発見しに、
是非本展覧会に足をお運びください🎶

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