SAGA

にょきにょき、からっと晴れてちょっぴり水気が恋しいです。MAシダです!

さて現在の展示品の中からまた!素敵な文字を見つけました。館内日々発見であります。

それがコチラ!ドン

『方丈記』鴨長明


方丈記といえば鎌倉時代に鴨長明の手により書かれたエッセイで、中世文学作品の代表格でもあります。
この作品は内容に地震・台風・伝染病・飢饉などの災害に関する記述を多く含みますが、それが貴族目線ではなく市井の人々の側に立ってリアルに描き出されている点が特徴となっています。

…さて、こちらの方丈記ですが、ただ今館内で展示しているものは大変美しい装丁で作られたものです。このような形態を持つ本は江戸時代初めごろ、京都の豪商嵯峨氏が出資しおよそ10年にわたり作られました。

その名も『嵯峨本』。(まんまだ!)

嵯峨本の特徴は
「印刷でありながら流麗な筆致を持つ文字」
「雲母刷などを多用した豪華な装丁」
にあります。

中でも注目したいのがこの文字です。

筆で書いたかのような連続性をもって書かれていますが、なんとこちら木版活字によって刷られたものなのです。
よく見ると文字の周囲にある墨のにじみや木版のへこみを観察することが出来ます。
通常、活字は一文字ずつ制作されますが、嵯峨本では2-3文字単位で一つの活字を作りそれを組み合わせて印刷されています。これが非常にコストと手間がかかるため結局、江戸の印刷事情は活字印刷から木版印刷に逆行したとも考えられています。

そんな嵯峨本の筆致の美しさは今にも刷新されているようです。
なんと!フォントになってた…!

嵯峨本フォントプロトタイプ

作成されたのは游明朝でおなじみ(?)の鳥海修さんです。
沢山の合字が入っているようなのできっといじりがいがあるはず…!
何かしらで使ってみたいものです。献立表とか。

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