頭が高い

皆さん「台頭」という言葉は使われたことありますか?
「新勢力が――する」とい言った感じに使う、アレです。

…実はその言葉にもう一つ意味がある事はご存知でしょうか?(私もつい最近知りました!)

そう、それが

「(文中などで)身分の高い人への敬意を示すため、改行を用いて一段高く書くこと」

という意味だったのです!

…なぜ、それを知ることになったかというと、まさに「台頭」している史料を館内で発見したからなのです。それがコチラ。



1772年、科挙合格者の答案です。
余りにもきれいな字なのでにわかには信じがたいですが、こちらはすべて手書き。本当に試験答案として提出されたものだそうです。こちらは科挙の最終段階、「殿試」の答案で、皇帝自らが試験に当たるため回答形式も皇帝の問いに答える形式をとります。そのため文中には「皇帝」が頻出することになりますが、その際、行頭上げ(さらに最上級の敬意となるため二字上げ)が行われていることがみてとれるかと思います。
日本語でも長文を書く(組む)際には行頭一字下げが行われますが、こちらは通常文頭の視認性を上げ、可読性を高めるために行われていると考えられます。また違った理由があるんですね。欧文ではさらに行頭を下げる操作を行いますが、これは「一字分」とは限らなかったりします。
国や言語、さらには時代によって表記、組版のルールが異なっている様子は大変興味深いです。
是非、史料をご覧になる際にはそのあたりもご注目ください!

最近のブログ記事