こんにちは、散歩が趣味のMAはるまきです。
GWも終わり、夏に向けてそろそろ本格的に暑くなってきましたね!
(お散歩するには日焼けが気になる季節…)

今日は、みなさんにちょっとした質問をひとつ。
『死者の書』と言えば、みなさんはどの『死者の書』を思い浮かべますか?

最も有名なのは、エジプトのものでしょうか。
これは、パピルス紙という原始的な紙に死出の旅の様子やあの世での振る舞いをつづり、死者とともに埋葬したものです。
古代エジプト人には、死者もあの世で生前と同じような生活を送るという他界観があったようですね。

当館では、もうひとつの『死者の書』を所蔵しています。
こちらはチベット仏教の経典で、死者の枕元でラマ(チベット仏教の僧侶)が誦み上げる、いわゆる枕経。
紺色に染められた紙の上に、金銀の顔料で文字が描かれた、静謐の美をたたえる逸品となっています。
また、日本の経典は巻子仕立になっているものが多いですが、こちらは横長の短冊状というちょっと変わった形になっています。

さて、これらの2つはどちらも「死者の旅立ちに際して読み上げる」という点で共通していますね。
では、その他の『死者の書』とは...?

私は折口信夫の『死者の書』を思い浮かべます。
折口信夫は国文学者・民俗学者・歌人と多彩な顔を持ち、日本の古代研究を行いました。
小説『死者の書』は、奈良時代を舞台にした物語で、様々な仏教的モチーフがちりばめられています。

この小説は大変難解で、タイトルの「死者の書」が何を表すのかはっきりとは分かりません。
処刑された大津皇子が蘇生するシーンが冒頭で描かれるので、それを意識したのでしょうか?

私は近代文学が好きなので、『死者の書』=折口信夫のイメージだったのですが、まわりの人に聞いてみるとそうでもないようです。
皆さんはどの『死者の書』を思い浮かべましたか?
チベットの『死者の書』なんて知らなかった、というあなた!ぜひ当館にお出で下さいね。
ちくま文庫の関連図書も販売中です。

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