館長から


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Profile

平野健一郎 ひらの けんいちろう
(1937年—)東京大学名誉教授、早稲田大学名誉教授。専門は国際関係論・国際関係史・国際文化論。日本国際文化学会初代会長。3代目国立公文書館アジア歴史資料センター長。主な著書に、『近代日本とアジア—文化の交流と摩擦』(1984年)、『国際文化論』(2000年)。2012年から東洋文庫にて現職。

100年前に「東洋文庫」の設立に関わった人々が起草した「財団法人東洋文庫寄附行為」には、当初から、図書、研究と並んで、普及展示の使命が掲げられていました。そして、東洋文庫が正式に発足する前に、創設記念展示会を2回開催したのです。一つは「スタイン・ペリオ両博士中亜発掘将来品写真其他展覧会」で、1922年5月に東京帝国大学構内において開催し、もう一つは「開設記念展示」で、1924年11月28~30日に新設の東洋文庫で開かれたのです。二つの展示は1923年9月1日の関東大震災を挟んで行われており、迫真の力を込めて行われたことが窺われます。折しも西洋で急速に進むシルクロード研究に負けじとハッスルする学問の勢いが、社会一般にも届こうとし始めたのでしょうか。

皆様は海外旅行で博物館を訪問されて、その土地の小学生、中学生のグループが先生の説明を聴きながら熱心に展示物を見ている様子をご覧になったことがおありになると思います。子供たちは、その土地土地の先人たちの暮らしを振り返って、文化の固有性と普遍性の理解を深めて行くのではないでしょうか。日本の博物館でこのような風景を目にすることはまだそれほど多くないようです。東洋文庫ではミュージアムにそのような光景を増やしたいと、教室とのつながりを活かした学校プログラムをいろいろ試みています。

東洋文庫は次の100年に進みます。「研究図書館」という知のインフラストラクチャーを一層強固にしつつ、「本のミュージアム」として楽しい知の礎を築きます。よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

東洋文庫ミュージアム館長
普及展示部長
平野健一郎

ミュージアム開館カレンダー

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